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69歳からマクドナルドでアルバイトを始め、71歳でユーチューバーとしてデビューしたロコリさん。月8万円で、おしゃれも外食も諦めないと言います（構成＝福永妙子撮影＝吉田弦矢）

【写真】みっちりと書き込まれたYouTube研究ノート

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＜前編よりつづく＞

ユニクロやしまむらで宝探しの日々

衣食住の「衣」については、ユーチューブでも紹介しているプチプラファッションが、私のおしゃれのベースです。

シャツにパンツだけとか、シンプルなものが好きで、洋服の基本形にひと工夫を加えるのがロコリ流。値段が安くてもクオリティの高いもの、服としてのチカラを持つものがあります。そうしたものを組み合わせながら、いかに自分を魅力的に演出するかがおしゃれの醍醐味です。

ユニクロやGUなどのファストファッションは常に新作をチェック。しまむらに足を運び、メルカリもよく利用します。安くていいものを探すには、それなりの《眼力》が必要で、見つけた時は本当に嬉しい。まさに宝探しです。

今日着ているジャケットも、ユニクロのコラボ商品。セールで5000円しなかったんじゃないかな？

動画の編集に使うのはiPad（写真提供◎『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』（KADOKAWA、林ひろし撮影）より）

そんな私ですが、眼鏡と靴はケチりません。眼鏡はベルギーのブランド「テオ」のもので、私にとって高い買い物。けれど、上が透明、下が黒のフレームは私の顔に合うし、いいものを長く使いたい。だから、少しくらい高くてもよし、なのです。

靴は、ドイツの健康靴ブランド「ストロバー」で、一足4万、5万円。高いけれど、若い頃から膝が悪かった私が、これを履いて以来、痛みがなくなりました。セールやメルカリを利用して購入しています。

私、節約の工夫はするけれど、ケチケチは嫌いなんです。わが家では、花が好きだった母のために、毎月2度届くお花の定期便を契約していました。月額1700円。少ない年金生活で母の死後も続けていたのは、生活に潤いを与えてくれるから。心の栄養ですね。自分の気持ちを高めてくれるもの、元気にしてくれるものにはお金をかけていい、それが私の考えです。

ただ、花の定期便も解約しようか迷っています。というのも、ジムに通い始めたからです。ここのところ体の衰えを実感していて、この先も健康であり続けるには筋力が必要と考え、入会を決めました。60歳以上は月会費3800円。この出費があるので、花をあきらめようかと。

自分が幸せでいるには何が必要か、何を優先させるのかは、その時々で違ってきますし、それによって、お金の使い方も変わってきます。

節約する部分と、出費を惜しまない部分。メリハリをつけたお金の使い方は、限られた年金生活ではなおさら大事ですね。

「ずっと迷い子の人生を歩んできたけれど、今思えば、どんなことも無駄ではなかったですね」

借金生活も母の介護も無駄ではなかった

私のユーチューブの視聴者さんは、40代、50代の方が多く、「老いることが怖くなくなった」というコメントをよくいただきます。

私自身、年齢など関係なく、ファッションにはいつもワクワクしていますし、ユーチューブはそんな自分の世界を丸ごと表現できる場です。だからこそ、72歳の今、誰にも気兼ねすることなく好きなことができる日々に幸せを感じています。

振り返れば、これまで私が歩んできた道はデコボコだらけでした。25歳の時、地元でブティックの経営者となったものの、35歳で2000万円の負債を抱え廃業。毎月の返済のため、働いても働いても手元に残るのは微々たる額。

常にお金がなく、300円のソックスを買うのも躊躇するような貧乏生活が何十年も続きました。同居していた母と支えてくれた友達がいなければ、生きていけなかったでしょう。

ようやく借金を返し終えた頃、今度は母が認知症になりました。特別養護老人ホームになかなか空きがなく、母を施設に入れる金銭的余裕もありません。私の60代の10年間は、働きながら、母を在宅で介護する日々でもありました。

ずっと迷い子の人生を歩んできたけれど、今思えば、どんなことも無駄ではなかったですね。返済に追われたことで、お金の大事さをとことん思い知りました。暗いトンネルのなか、どうしようもなく落ち込んだ時に気持ちを立て直すコツも、自然と身についたような気がします。

安いものでもおしゃれを楽しめるというプチプラのテクニックは、お金に困った時代に培われたものです。うんと若い頃にカラーコーディネイターの勉強をしたことが、ユーチューブで洋服の色の組み合わせを話す時の自信につながっています。

それに、母の介護は大変だったけれど、十分にやりきったと思えたからこそ、気持ちを切り替え、新たな人生のスタートを切れたのです。

70代になって人生が変わってきました。やってきたことが、ここにきてつながっているのを実感します。いくつになっても、どんな可能性があるかわからない。興味が湧いたら、やってみること、まずは一歩踏み出すことが大事だと改めて思います。

さて、これからは……若い人と一緒に働けるマクドナルドは可能な限り続けたいですが、体力次第でしょうか。

ユーチューブは撮影とデスクワークの編集がメインなので、80代になっても続けられそう。配信数を月2から月3に増やし、みなさんに喜んでいただける新たなコンテンツもどんどん出していきたいです。

そうして再生数を増やして収益アップにつなげ、将来、施設に入るお金も貯めたい。母の介護の時は私がいましたけど、私にはお世話をしてくれる人もいませんしね。これ、ユーチューブを頑張る原動力にもなっているんですよ。

年金は少ないけれど、お金の使い方、稼ぎ方、節約方法も含め、あれこれ知恵を絞って考えながら、自分のやりたいようにやっている今の暮らしを、私は心から楽しんでいます。

外部サイト 72歳YouTuber・ロコリさん。年金＋マクドナルドバイト代の月8万で暮らす「お金を得るためYouTube配信を始めて。動画の収益は今は貯金に」 71歳YouTuber65歳で脳梗塞の夫と「楽しく」やってきたリハビリとは？カラオケにボーリング、一緒に過ごせば喜びも倍に 88歳ひとり暮らし「おばあちゃんねる」Youtuberキャベツは千切りレンチンで。鳥の手羽中は小分けして冷凍、タンパク質補給に肉は意識して食卓へ

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